第12回世界アルツハイマーデー記念講演会in岡山

 令和6年9月26日に第12回世界アルツハイマーデー記念講演会in岡山を例年通り、山陽新聞社さん太ホールで開催しました。今年のテーマは「認知症、最近の話題」、新薬、成年後見制度、嚥下と胃ろう、徘徊について話を聴くことができました。今回、この場をお借りして少し書かせて頂きます。 

 新薬の話、私がお話致しました。アルツハイマー病の原因として脳の中にアミロイドβというタンパクがたまることが考えられていて、それを取り除く抗体がこの病気の進行を抑えることが分かり、今年から医療の現場に治療薬として登場しています。副作用は予想より少ないようですが、1年半の期間、2週間に1回の点滴で通院、効果を実感しにくい、費用もかかるなどの問題があります。 

 成年後見制度の話、佐々木正有法律事務所の佐々木正有弁護士にお話頂きました。成年後見制度は、認知症になると判断能力なども低下して、その方がご自分でご自分の財産の管理ができなくなるということが発生しますので、その財産を管理して頂く後見人を家庭裁判所が選任するという制度です。一度この制度を利用すると元の状態には戻らない、財産を自由に使えない、費用がかかるなど様々な特徴があり、この制度を利用する前によくこの制度を理解しておくことが必要です。

 

 嚥下と胃ろうの話、岡山協立病院の坂野靖雄先生にお話頂きました。飲み込みが悪くなって、食べられなくなると栄養障害が出てきます。胃ろうは食べられなくなった人を生かすものではなくて、口からだけでは食事量が不足する状態に用いるのがよいということでした。胃ろう造設のタイミング、重要です。 

 徘徊の話、慈圭病院の石津秀樹先生よりお話頂きました。徘徊という言葉は否定的なニュアンスを伴いますが、徘徊はその人にとって意味のある行動であり、その理由を考えて対応することが大切というお話でした。徘徊は行方不明にもつながる症状ですが、そうなることの原因を考えることでよりよいケアにつながっていくと思っています。 

 来年もまた、9月の最終木曜日の夜にこのような講演会を開催する予定です。お時間やご興味のある方のご参加をお待ちしています。 

岡山赤十字病院・精神神経科 岡山市認知症疾患医療センター

センター長 中島 誠