
私は香川県の田舎町で生まれ育ちました。その故郷の町が朝日新聞2024年発表の「消滅可能性自治体」リストにのっていたのには驚きました。しかし先月、実家に帰省した際に「消滅可能性自治体」を実感しました。
私が故郷の小学校を卒業したのは約50年前です。その当時は同じ町内に小学校が3校ありました。しかし、人口減少で2019年に私の母校を含む3小学校は全て廃校となり、新たな場所にピカピカの新しい学校ができています。小学校3校を1校に統合し、さらに中学校も同じ建物に集約。建物はピカピカになりました。この小中学校で学ぶ子供たちは50年間で1/3に減少した事になります。その田舎町の人口統計によると、人口は50年前と比較して約半分になっていますが、子供(0〜14歳)人口は、なんと、1/4程度まで減っていました。
40年ぶりぐらいに故郷の町をあちこち行ってみると、学校や市役所の新築、縦横に巡らされた新しい道路の建設などインフラは明らかに良くなっています。しかし、繁華街の店のほとんどが消えて駐車場に変貌していました。そこに駐車している車はまばらです。水田はきれいに四角形に区画整理されて用水路が整っており、機械化稲作が大変やりやすくなっています。しかし、農家が高齢化しています。便利な農地があっても農業収入だけでは生活が困難な事より農業を継承する人材が激減しています。
生活改善のためにいろんな新築施設や道路がどんどん作られていますが、これが地方再生、人口維持につながっていない印象です。最近、岡山県でも県北地域では医院の閉院が相次いでいます。医院の後継者不足と患者不足による経営難が原因と言われています。医師会の会員数も減少し2023年に岡山県久米郡医師会は解散され、学校検診の維持が困難になりつつあります。
人口減少による様々な問題がどんどん表面化しています。私も60歳を超えて高齢者の仲間入りをしましたが、せめて、若者たちに頼らない自立した健康な高齢者になりたいと考える今日この頃です。
心臓病センター榊原病院 心臓血管外科